アカウンタビリティーの観点からの脚注

注1)
 堤 清二/橋爪大三郎「選択・責任・連帯の教育改革」 岩波ブックレット、471 、1998  (財)社会経済生産性本部、社会政策特別委員会、教育改革に関する中間報告書をベースにしている。   この引用文の中に、チャータースクール運動に関わる生徒や父母、教師、行政担当者たちの"生の声"を読みとることができる。提言には、「学区制の廃止」「学校経営権を校長に」「成績の相対評価をやめ絶対評価に」「高校の入学試験を廃止し、学力認定のために統一の外部試験を」といった注目すべき提案が含まれている。
(本文)

注2)
 いち早く日本に紹介された翻訳には、【ジョー・ネイサン・大沼 安史訳「チャータースクール−あなたも公立学校が創れる」、 一光社、1997】があり、次の資料がCS研究に大いに参考になった。  CLAIR REPORT, NUMBER 141「米国の公教育とチャータースクール」(財)自治体国際化協会1997 佐々木 司 「チャータースクールの研究」アメリカ教育学会紀要、1996, 伊藤 稔 「アメリカにおけるチャータースクールの動向−学校の説明責任とは何か」日本教育経営学会例会、 1999,今村 令子 「永遠の『双子の目標』」東信堂  1990 ,椙山 正弘 「アメリカにおける教育改革の一つのモデルとしてのオープン・チャター・スクール」アメリカ教育学会紀要、1996、岸本 陸久 「 米国のチャータースクールの動向」、現代アメリカ教育研究会、1998/3一方、最近の新聞には、「文部省研究校に公募型」「教師の発案採用/私立申請もOK」「米で急増のチャータースクールからヒント」と題して、自民党教育改革実施本部(森山真弓本部長)の試案が一面トップで報道された。もしこれが実現すればわが国の文教政策も、ようやく国際的に評価されるだろう。(1999,6/18、読売朝刊)
(本文)

注3)
 菊地英昭「アメリカにおけるCharter School運動の動向と意義について−各州制度の事例を中心にー」日本教育制度学会第6回大会(帝京大学)、平成10年12月6日、AZ,CA,MNの各州のCS法を観点別に比較し、その多様性を実証しようとしたものである。  なお、1970代から80年代のオールタナティブ・スクールの動向については次の文献を参照されたい。  菊地英昭「ハイスクールの特色化をめざすオールタナティブ教育−教育の自由選択を中心にして」現代アメリカ教育研究会編 「特色を求めるアメリカ教育の挑戦」所収、教育開発研究所 1990
(本文)

注4)
 筆者の住む寒川の隣り町、藤沢市を拠点に、主として公立小学校の教師、父母を中心に、日本版チャータースクールを創ろうという運動が起こっていることを最近知った。既に、ホームページでCSの全国ネットワークを創り、活発な情報交換を展開している。 http://www.tamago.org/Tsukurukai/index..html  会の名称は、「湘南に新しい公立学校を創りだす会」(会長佐々木洋平)で、「湘南小学校設立趣意書」1998が公開されている。
(本文)

注5)
 Center for Education Reform(CER),Charter Schools: A Progress Report, Part2: The Closures Opportunity for Accountability,  http://www.edrerorm.com/pubs/CharterCiosures99.htm 
(本文)

注6)
 A National Study of Charter Schools ,Second Year Report, Office of Educational Research and Improvement, US Department of Education, 1998   pp 9-10/10(Web-site) インターネットで全文公開されている。 http://ed.gov/pubs/chart98/chap2a.html  最近次のような翻訳書が刊行された。子ども劇場全国センター 「もうひとつの公教育−アメリカ教育改革の波−チャータースクール」、チャータースクールに関する全米調査−二年度報告書−(全訳)、1998
(本文)

注7)
 AFT(American Federation of Teachers),NEA(National Education Association)の二大教職員団体のCSに対する関心は高く、Web-siteを拠点に独自の見解をPRしている(NEAの反応は遅く、Web-siteの開設は最近である)いずれも,アカウンタビリティーの論点こそCS論議の要(bottom-line)(NEAページ)として最重要課題だとしている。  NEAがCSのアカウンタビリティーの懐疑的な理由は、(1)州レベルの成果判定基準の不確定性(2)学区レベルの成績基準(base-line)も欠如(3)明確なアカウンタビリティー計画、レポーティング・システムが確立されていない(3)教員免許の義務化の不徹底さが指摘されている。 http://www.nea.org/issues/charter/accnt98.html
(本文)

注8)
 例えばミネソタ州法では「州教育委員会が公立学校の生徒のために作成した学習成果の最低基準(outcomes)以上」の成績向上を義務づけている。他州の学習成果責任要件(アカウンタビリティー)の対応については本文後述。
(本文)

注9)
 Amy Stuart Wells and Research Associates, UCLA Charter School Study CHARTER SCHOOL REFORM IN CALIFORNIA ,DOES IT MEET EXPECTATIONS? ,PHI DELTA KAPPAN ,DECEMBER 1998,pp305-313、カリフォルニア大学のCS研究グループは、フォード財団など三つの財団の助成で研究プロジェクトを組織し、CA州内 10学区のCS17校のフィールド調査を実施した。公立学校とCSの決定的相違点HA"CSが生徒の学習成果(outcomes)に責任を持つ(accountable)ことと常に語られるが、1)CAでは1994年以降統一テストは実施されず,CSの14%はテストを一つも実施していないこと、2)CSはそれぞれ異なる目的を持って設立されており、共通テストではどれだけ評価できるのか?と疑問視し、(Accountability to whom, and for what ?)と自問自答している。
(本文)

注10)
 AFTレポート ,State-by-State Analysis of Charter School Legislation, AFTは各州のCS法を評定するための独自の基準を策定し、それに基づき25の州を詳細に分析している。    http://www.org/research/reports/charter/csweb/states.htm
(本文)

注11)
 District of Columbia Public Charter School Board, Introduction to Application Guidelines April 5, 1999 http://www.dcpubliccharter.com/appintro.htm
(本文)

注12)
 市場主義の競争原理が公的管理に勝るというアメリカ的発想から生まれたのが、教育の民営化(privatization)もしくは民間委託(contracting-act)である。MNのミネアポリスに拠点があるMEAL(Education Alternatives ,Inc)、TNのナシュビルのAlternative Public Schools, Inc 、セントポール(MN)に本拠を置く Public Strategy Group、ニューヨーク市のEdison Project(EP)等が知られている。特に、EPの場合、KS,MI,TX,MAの4州で学校を経営し、その一つがMAの有名なCS、ボストン・ルネッサンス・チャータースクールである。同社がMA州政府とチャーター契約して、1995年9月に開校したCSである。同社の収入は就学者数に応じて州から配分される補助金である。  公教育(公立学校)の教育経営を民間会社が請け負うと言う発想がCS運動の一形態となっているのは興味深い。 ibid、 CLAIR REPORT, NUMBER 、pp31−33
(本文)

注13)
 本図 愛見 「学校選択に関する原理論的研究−アメリカの学校選択制における市場的要因を中心として」日本教育行政   学会年報、1998 参照 
(本文) 

注14)
 本章での資料は主としてCERのホームページからとったものである。  Charter School Legislation と題するページは、37のCS法(の要約)がそれぞれ掲載され、全てを集約して表にまとめた。たとえば、オハイオ州(OH)のプロフィールはつぎの通りである。     http://www.edreform.com/laws/Ohio.htm
(本文)

注15)
 MNの実証研究として、湯藤 定宗 「ミネソタ州におけるチャータースクールの普及状況に関する一考察」アメリカ教育学会紀要、1997、湯藤 定宗 「チャータースクールにおける父母の学校参加に関する一考察−PACTチャータースクールを事例として−、日本教育経営学会、NO、41、1999があげられる。
(本文)

注16)
 Minnesota Charter Schools Evaluation,  University of Minnesota, http://carei.coled.umn.edu/CharterSchools/Mneval/intro.htm
(本文)

注17)
 中留 武昭「アメリカの学校評価に関する理論的・実証的研究」 第一法規、平成6年  著者はアメリカの伝統的なアクレディテーション(狭義の学校評価)を、1970年代を境にして、今日新たに発展してきている各種のパフォーマンス評価を広義の学校評価と捉え、その特徴を、(1)アウトプットとしてのパフォーマンス(アウトカム)を評価の対象に据えていること、(2)その理論的根拠としては、70年代教育のアカウンタビリティー運動と効果的学校(effective schools)研究−学校改善研究があること、(3)評価の対象を限定して、管理者(教員)のパフォーマンス、経営のパフォーマンス、学校文化・風土に焦点を当てた評価、さらに「学校に基礎を置いた経営」(SBM)が重視されることと捉えている。著者の「学校評価モデル」によれば、学校評価とは、「州または学区ないしはそこにおける学校が一定の教育価値を具現化した評価基準に準拠して、教育におけるエクセレンス(卓越性)を協働で改善していく計画的、総合的な評価活動」という定義を与えている。( ibid.、,p.112)エクセレンスは、1)質、2)平等 3)効果 4)効率 5)参加の五つの要因の方程式で考えたファンティーニ(Fantini ,M.D)の所説は示唆的である。これに関する論文としては、中留論文のほかに次の文献に詳しい。松浦 良充「1980年代アメリカ教育改革論議のゆくえ」― 「均等なエクセレンスの達成」をめぐって(現代アメリカ教育研究会「特色を求めるアメリカ教育の挑戦」ibid.,pp1-25)
(本文)

その他

注 NEA : Charter Schools :A Look at Accountability   http://www.nea.org/issues/charter/accnt98.html  April 1998,CSは真に生徒、父母、税金を払っている国民に責任をとっているのか?と

注 学校の自己評価と報告書提出方式の弱さを指摘するNEA報告で、ミネソタではアカウンタビリティー計画が「抜け落ちている」(LACKING)と指摘している。NEA・Web-site, ibid 注 Marry Anne Raywid;Taking Stock: The Movement to Create MINI-SCHOOLS,SCHOOLS-WITHIN-SCHOOLS, and Separate Small Schools, April 1996 オールタナティブ教育の研究者として著名な著者は長年ホフストラ大学「オールタナティブ教育センター」(Center for the Study of Educational Alternatives)を主宰して、学校改革、改善、最近では学校の「リストラ」( RESTRUCTURING)論として、表題のような「ミニ・スクール」「学校内学校」「サブスクール」等のオールタナティブを提言している。   この種のオールタナティブについては本稿では直接扱わなかったが、著者は、ニューヨーク、フィラデルフィア、シカゴの三つの大都市学区で推進されている伝統的な総合制ハイスクールの小規模化(DOWNSIZING)の動きは(1)既存の校舎内の学校内学校というリストラ策として(2)個々のミニスクールをチャーターとして教員に経営を委譲するという方策(フィラデルフィア、ニューヨークにその動きがある)と連動し、注目される。

注 ボストン(MA)にあるパイオニア研究所(Pioneer Institute for Public Policy Research)は、マサチュセッツ州教育局と連携してCSに関わる情報提供などの技術的、専門的立場からのサポート事業を、インターネットのWeb-siteを拠点に展開している民間の研究所である。

注 Amy Stuart Wells and research associates ; Charter School Reform in California UCLA Charter School Study ,PHI DELTA KAPPAN, DECEMBER 1998  UCLA/CSSは、Annie E. Casey Foundation, Ford Foundation, Spencer Foundation の3財団の補助で設立され、A.S.Wellsは主任研究員。