事例1 ホライズン・インストラクショナル・システム

(Horizon Instructional Systems)(http://www.hiscs.org))
学校の概要 開校年度 1993-1994 生徒数2661名(1998−99)k−12学年 人種構成 白人64%/黒人4%/ヒスパニック7%/アジア系0,5%/アメリカ先住民1%/その他23,5% 生徒一人当たり経費(推定):3821ドル チャーター認可機関――WPUSD(Western Placer Unified School District) Sacramento 近郊。創設者 Randy Gashler。教員/親

1.ランディー・ガシュラーのプロフィールと開校までの経過
▼ 創設者の一人でもあり、学校長(director)のRandy Gashler のプロフィール
 1990年― リンカーン・ハイスクール教員(世界史担当/フットボール・コーチ)
1992年― 従来校のシステムに疑問を感じ、WPUSDの自学自習プログラム(Independent Study Program)(ISP)を志願、採用される
  • カリフォルニア州議会チャータースクール法を採択。施行。
  • WPUSDの教育長にホームスクーラーのためのCS開校プラン相談し、申請決意
  • @ホームスクールで学ぶ生徒/ドロップアウトした生徒を学校に呼び戻し、在籍させれば、学区の歳入が増える。A通信機器(インターネットなど)を利用した遠隔教育により、生徒数はさらに増加が見込まれる←学区当局の積極的支援
 1993年― ○HISチャータースクール開校(生徒数 15名)2−3ヶ月後200人に増加
  • “Budget Trailer”法案―CAのISP(自学自習プログラム)に関する法的抜け道(loophole)を防ぐのが目的。自宅学習者を「在籍」させ替わりに州からの必要備品を無償で提供し、在籍の勧誘がある学区で横行した。→
  • “現金授受“”ビデオカセット“”コンピュータ“などの有価物(things of value)を、学区内でもらえる生徒ともらえない生徒がでる。学区とHISは、「HISは規則違反」と州教育省に訴えられる。「生徒分として受け取った補助金は全額返還せよ」(州教育省の決定)→ 1993−94年の補助金(90万ドル)差し止め。
1994年― 11月 〈在宅生徒にコンピュータを使って授業を行う〉方式を「遠隔教育(Distance Learning)と称して法的に認定されたが、HISは該当市内という州当局の見解。
 1996年― 前州議会議員(上院)がその解釈を批判。4月、「HISの方式背反していない」(州教育省の最終判断。協定書調印。
 1998年― ○生徒数2661人(近隣の6郡から通学している)入学待機者リスト 500人
教員数  75人
○ 2月 5年間のチャーター期限で、ウエスタン・プレイサー学区当局により審査され、更新された。
 

 資料 Chester Finn pp42-47

2.HISの教育システム
学校の教室を拠点とする(classroom-based)公立学校システム(“one-size-fits-all”カリキュラム)とは基本的に異なるシステムで、父母がわが子のニーズに即して個別に学習環境を整備し、個別のカリキュラム(Individualized Learning Program)を計画し、自ら教授者として教える(Primary Facilitatorとしての役割を有する)。HISの教員は、教育専門家(Education Specialists)と呼ばれ、全員州が認定する教員免許取得者で、父母(家庭教師)たちの支援者、助言者として、カリキュラム作成/精選/計画、子どもの学習スタイルと教授法、コンピューター操作の技能教育などの指導・助言と研修機会を提供する。学校は、教材センター(Resource Center),学習センター、父母支援センターとしての機能も担う(「入学案内書」より)。
HISでは、ほとんどすべての通信記録、帳簿類がコンピューターによって管理・保存され、電子的に処理されている。HISでは従来型の学校施設は不要なので、生徒の学習は専らオンライン上で展開される。自宅での面接や各学習センター(分校)での特別講座(コントラクト学習)、補充学習プロジェクト(Supplemental Learning Project),コンピューターによる遠隔学習(distance learning/EASTプログラム)などが主な学習―教授形態である。フィールドトリップ(社会見学)、勤労体験プログラム(Apprenticeships)などのプログラムも用意される。なおこれら教材費、その他の経費は公費で負担され、無料で提供される。教員一人当たり平均20人程の生徒を配置し、生徒のプログラムに即して定期的に(週1回香月に一回程度)家庭訪問して、指導助言する。
3.学校運営の意思決定
 HISの本部はLincoln市に置く。BRANCHと呼ばれる支部事務所が各地に置かれる。州内の遠隔地3カ所に、理事会(父母・4名/教員・3名/地域経済界代表・1名/教育長の指名する者・1名からなる)、父母協議会(Parent Advisory Boards)のオフィスを置く。
学校経営の基本方針は、すべて学校理事会(Governance Committee)の決定に従う。実際の日常業務は、理事会の決定に基づき、専門の経営会社に委託して、学校を運営する(学校財政経理/渉外事務/その他の庶務)。
理事会の主な審議事項  @学校長(Director)の選任A教職員の選任B学校経営専門企業の選定と契約C学校予算/決算の承認D学校行事(school Calendar)の決定などである。
★学校のアカウンタビリティーの施策決定の責任を負う。
父母協議会は3ヶ月に一回開催され、理事(4名―父母代表)を選定し、生徒指導、カリキュラム、学校運営などに関する提言を行う。
4.評価
詳細な評価基準が当校のHPに公開されている。生徒の学力到達度は、@毎月の学習記録報告A一年間の学習成果を収めたポートフォリオ(portfolios)B父母(parent facilitator)/教員(education specialist)の観察所見 C州、学区が義務づける標準学力テスト結果Dその他・生徒の成果を証明する個人的な作品などを評定する。

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